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久しぶりに、突発SSを書きました。
今日親の手伝いでトマトを収穫中に、使っていた剪定鋏を見てふと思いついたネタです。
これまた久しぶりのダークなヤンデレ話ですww
何のことはありません。
手にした鋏を見て、『あ、今までよく見てなかったけどこれすごい素敵な形。人に突き立てたら、萌える!あ、どうせなら逆手に握らせたほうが良いよね♪』
という事で出来た話です。ハイ。
ヤンデレなら問答無用で柳幸!と思ったのですが、久しぶりに三強の三角形愛(完結済み)を書きたかったので、あえて三強CPにしてみました。
まぁ、メインは柳幸ですけれど。
突発話なだけあってオチが実に微妙ですが…。

読んでくださる方は、続きからどうぞ。






【鋏】

「精市、ここに居たのか」
 屋上庭園でようやく幸村の姿を見つけた柳はため息をつきつつそう言った。
 真田から『幸村が呼んでいるぞ』という伝言を受け取ったのが15分ほど前。
 教室に居るのかと思って幸村の教室を訪れてみればそこにすでに彼の姿は無く、ならば屋上庭園の方かと行ってみれば屋上はがらんとしており、誰かが居るような気配は無かった。
 次に向かったのは部室であったが、覗いてみてもそこに幸村の姿は無く(というか、部室の鍵は閉まったままであった)、仕方なく柳は再び幸村の教室へと戻り手近なクラスメイトを捕まえて『精市がどこにいったか知らないか?』と尋ねる羽目になった。
 そしてその生徒の答えは『幸村なら屋上庭園に花の世話しに行くみたいだったぜ?』と言うものであり、柳は思い切りため息を付いた。
 どうやら、見事な行き違いを演じてしまったらしい。
 幸村は剪定鋏を手に、花壇の痛んだ花を切り落としていた。
 
 しゃき。と鋏が動き
 ぽと。と花が落ちる。

「やぁ、蓮二。遅かったね」
「どうした?弦一郎がずいぶんと深刻そうな顔をしていたが…」
 柳はゆっくりと幸村のほうに近づいていくが、幸村は決して振り返ろうとはしない。
 淡々と、ただ淡々と花を切り落とし続ける。
 
 しゃき。ぽと。

 柳は真田から伝言を伝えられた時点で、幸村が自分を呼び出す理由を考えていた。
 常であればこのまま昇降口で待ち合わせ、幸村と真田と三人で帰路に着く。
 話ならばそのときにいくらでも出来るはずだ。
 そして、わざわざ自分の居場所を告げずに呼び出すと言うことは、幸村の機嫌は決してよくは無い。
 しかし、柳に幸村を不機嫌にさせるような言動に心当たりは無かった。
 部活を引退した今、幸村や真田と交流できるのは休み時間や放課後のみ。
 昼休みの間、幸村は上機嫌にけらけらと笑っていたはずなのだが…。
「精市、どうした?」
「…ねぇ、蓮二…」
 こちらに背を向けてしゃがみこんでいる幸村の表情を見ることは出来ない。
 しかし、幸村の声はかすかに震えていて、それが柳をさらに不安にさせる。
 幸村は、見ているこちらが危険を覚えるほどに弱みをさらさない。限界まで我慢するような人間だ。
 その幸村が声を震わせている。
 柳は小さく眉をひそめた。
 すぐにでも抱き寄せてやりたい衝動に駆られたが、幸村の背は頑なに柳の接近を拒んでいる。
「…蓮二は…本当に俺のことが一番好き?本当に俺を愛してる?」
 ぽと。
 綺麗に咲き誇っていた花が、切り落とされた。
 幸村の鋏は今や、枯れていない花をも落としにかかっている。
 しゃき。ぽと。しゃき。ぽと。
 おちる、落ちる。
「当たり前だろう。今更何を言っている?」
 柳は、幸村の返事に即答した。
 そんなことは今更考えるまでも無い当然の答えである。
「…本当に?」
「あぁ。俺が精市に嘘をついたことがあったか?」
「本当の本当のほんとうに?」
 しゃき。ぽと。
 しゃき。
 しゃき。
 しゃき。
「本当だ。俺は精市を愛している」
 そう柳が断言した瞬間だった。
 勢い良く、幸村が動いたのは。
 気が付けば、柳の目僅か数センチのところに、剪定鋏が突きつけられていた。
 鋏を逆手に握った虚ろな幸村の瞳が、じっと柳を見ている。
 幸村が鋏を持った腕を止める位置を数センチ間違えれば、柳の片目に鋏の先端が突き刺さっていただろう。
 あまりにも眼球に鋏が近すぎて、柳には鋏がぼんやりと霞んで見えた。
「本当に?愛してる?」
「だからさっきから言っているだろう。俺が愛しているのは精市だけだ」
 今にも目に剪定鋏を突き立てられかねない状況だと言うのに、柳はあくまで淡々と、幸村に答えた。
 それでも幸村はじっと柳を見ている。
 それは、神の子による断罪のジャッジか。全てを見透かす瞳に柳はただ黙って答える。
 永遠に続くかと思えたそれは、唐突に終わった。
 幸村の瞳に涙が滲み、振り上げられていた剪定鋏が下ろされる。
「…よかった…俺、蓮二に嫌われたかと思った…。蓮二の綺麗な目が俺を一番に見てくれないのは、耐えられないと思って…」
「そんな事があるはず無いだろう」
 体を震わせる幸村を抱き寄せて、やさしく口付ける。
 こわばっていた力が抜けるまで、柳は幸村を抱きしめて頭を撫でてやった。
 いつもは真田と蓮二の無条件の愛と忠誠を疑いもしない幸村だが、彼は時折こうして情緒不安定になる。
 不安を生み出すのはいつも、ほんの些細なきっかけにすぎない。
 しかしその小さな不安はあっという間に幸村を貪り尽くす。
 例えば先程の状況下で柳が冗談で『申し訳ないが、別に好きな人が出来た』とでも言おうものなら幸村は躊躇無く柳の眼球に鋏を突き立てていただろう。
 今回はたまたま柳だっただけで、幸村の気まぐれしだいでは呼び出されたのは真田であったかもしれない。
 幸村は、真田と柳の愛情に依存している。
 そして柳も、幸村から求められることに依存している。真田もまた、然り。
「愛しているよ、精市…」
 幸村の頭を撫でながら、柳はうっとりと呟く。
 例え周囲がどんな感想を持ったとしても。
 これが彼らにとっての、完成された愛の形なのである。

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