忍者ブログ
日常。 仕事(ケーキ)とテニプリのことばかり。
| Admin | Write | Comment |
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
フリーエリア
最新CM
[08/25 黒帽子屋sion]
最新TB
プロフィール
HN:
九旺 稜玖
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
最古記事
P R
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

…何か、一度書き始めたら安易に完成しました。
「色々なキャラで幸村を壊してみよう!シリーズ(笑)、とりあえずこれでひと段落です。
とは言え、この手のダークな話はこれからも書くと思いますが。

仁王は手に入らないものほど焦がれて、いざ壊してみたらあっという間に興味を失ってしまうタイプ。
自分の本当の思いに、壊してからでしか気づけない悲しい愛情。
赤也は、精神的に壊すなんて器用な事はできないので物理的に拘束してもらいました。
赤也なりの「自分だけの幸村」。心は手に入らなくても、物理的には手に入った。それで満足なはずはないのだけれど、それで満足なんだと自分に言い聞かせて無理やり納得して、それでも幸村の心を手に入れるためにあの手この手を使うのでしょう。…この場合悪魔赤也なので、幸村に尽くす、という方向には絶対に向かないと思うので、幸村をどうにかして屈服させようとするのではないかと。
ブン太は、いっそ壊してしまいたいけれどそれが出来ない。
壊してしまいたいほどに愛しているけれど、それ以上に幸村の幸せのほうを願ってしまう優しさ。
その狭間で苦しむブン太と、優しさに甘えてしまう幸村。
そして蓮二は、自分で壊して自分の都合の良い様に修復します。
完全に真田の事を忘れた『自分だけの幸村』を作り上げます。
…飲まれたのは、蓮二か、幸村か。

そんなイメージの元一連の話を書いてみました。
感想などいただけると、とても喜びます!

真幸前提、ダーク柳幸。
興味のある方は続きからドウゾ。






【壊した君と、その欠片】(真幸前提、柳幸)

『虚空の欠片』

「精市」
名前を呼べば、虚ろな瞳が俺を映す。
けれど、それだけだ。
何か言葉を口にするわけでもなく、動くわけでもない。
ただ力なく、ソファーに寄りかかるその姿はまるで良くできたアンティークドールのようだった。
あぁ精市にはきっと、アンティークドールのような豪奢な衣装が似合うだろう。今度仁王にでも頼んでみるか。あいつならきっと、精市に似合う物を見繕ってくれるはずだ。
「精市、夕飯だ。ほら、口を開けろ」
そっと口元に食事を運べば、小さく口が開かれたのでそこに箸を差し入れる。
けれど、相変わらず無反応で瞳の光は虚ろ。ここではなく、虚空の彼方を見つめているかの如き眼差しだ。
『幸村精市』を知る人物が見たら、愕然とするだろう。
あの、傲慢なまでのカリスマ性は。あの、相手を威圧する氷の如き眼差しは。喜怒哀楽を豊かに表現する表情は。
一体どこに消えたのか。これが本当に神の子とよばれたあの『幸村精市』なのか、と。
だが、これが俺の『幸村精市』だ。
俺が、壊した。粉々に。
そして今、その欠片を集めて丹念に修復している。
修復に使う欠片は厳選に厳選を重ねたものだ。間違っても精市に、弦一郎への思いが戻らないように細心の注意を払う。
俺は、弦一郎の隣で笑う精市を誰よりも近くでずっと見ていた。
だから、あの二人のどこを突けば関係が破綻するのかも把握していた。
そしてその準備が整った一週間前。
俺は、精市と弦一郎の関係を壊した。
結果精市は壊れて粉々になり、弦一郎は深い絶望の底へと落ちた。
一応弦一郎の事は親友だと思っていたから、間違っても自殺などしないように定期的に励ましと言う名の監視を続けている。…元の『真田弦一郎』としては使い物にならないかもしれないが、人間としてはまだやっていけるはずだ。
そして精市は俺が引き取った。
最初は名を呼んでもこちらを見ることすらしなかったのだから、この一週間で修復はそれなりに進んでいると言って良いだろう。
精市のあの明るい屈託のない笑顔が、甘えるような我が儘が、俺に対してだけ向けられるまで…例えどれほどの時間がかかろうとも、絶対にやり遂げてみせる。
例えそれが、狂っていると評されても。
狂っていて、何が悪い?
「精市、もう食べないのか?」
まだ食事は半分程残っていたが、いくら差し出しても精市は口を開かなくなった。
俺の問いかけに反応する様子は、無い。
着実に進んでいるとは言え、先は長い。
俺は食器を下げるべく立ち上がり、手早くまとめると流しへと向かう。
一刻も早く片づけを終わらせて精市の側に戻らねばならない。
だから俺は、気づかなかった。
背を向けた俺に精市が、昔のような全てを見透かした如き笑みを浮かべていた事に。

コワスコトヲノゾンダノカ。
コワサレルコトヲノゾンダノカ。

真実は全て、狂気の海の中に沈む。
 

PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS: 管理人のみ表示
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする

Copyright foret noir。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Material By Alice Blue / Template by カキゴオリ☆
忍者ブログ [PR]